2026年を見据える!電気・設備業界で「人手不足が最も深刻化する分野」と狙い目のポジション

2026年を見据える!電気・設備業界で「人手不足が最も深刻化する分野」と狙い目のポジション

2025/12/15

投稿者:elecareer_staff

電気・設備業界における人手不足は、もはや構造的な問題です。しかし、この人手不足は業界全体に均等に起きているわけではなく、特定の先端分野や高度な専門性を要する分野に、より深刻に集中しています。

この「人手不足の偏り」こそ、キャリアアップを目指す電気工事士や施工管理技士にとって、年収アップと市場価値向上を実現する最大のチャンスです。需要と供給のバランスが崩れている分野に自身のスキルを集中させることが、将来の安定と高待遇を掴む鍵となります。

このコラムでは、2026年以降、特に需要が高まり、あなたのスキルが「高値で買い取られる」可能性が高い、3つの狙い目の分野とポジションを解説します。この年末にキャリア戦略を練り直し、人手不足が続く時代を勝ち抜きましょう。

 

 

 

1. データセンター(DC)関連:電源設計・熱対策のスペシャリスト

AIの普及、リモートワークの常態化、そしてクラウドサービスの国際的な競争激化により、国内では史上空前のデータセンター(DC)建設ラッシュが続いています。DCは、24時間365日停止が許されないため、高度な電気・設備技術が集中する、最も需要の高い分野の一つです。

 

狙い目の理由

  • 高度な冗長化技術

一般のビルとは比較にならない規模の高圧受変電設備、故障が許されないための二重化(冗長化)された電源システム、そして精密な空調・冷却システムの設計、施工管理ができる人材が圧倒的に不足しています。

 

  • 専門性の希少価値

DCの設備は特殊性が高く、参入できる企業が限られるため、そこで経験を積んだエンジニアの市場価値は非常に高いです。

 

  • 地方分散による拠点の広がり

これまでDC建設は千葉県印西市や大阪府に集中してきましたが、2026年に向けては災害リスク分散や電力供給の観点から、北海道、九州、東北といった地方都市への大規模投資が本格化しています。これにより、首都圏以外の技術者にとっても、地元にいながら最先端のプロジェクトに携わり、高待遇を得るチャンスが激増しています。

 

狙い目のポジションと求められるスキル

  • ポジション

DC専門の設備施工管理技士(電気・管)、電源設備保全エンジニア。

 

  • 求められるスキル

電験二種以上、または1級電気工事施工管理技士に加え、UPS(無停電電源装置)や大容量発電機の知識、高度な熱負荷計算(熱対策)の経験。特に液浸冷却などの最新冷却技術に関わる経験は、今後爆発的に価値が上がります。

 

  • 最新冷却技術への適応

特に、サーバーを特殊な液体に浸して冷却する「液浸冷却」などの最新技術は、従来の空調知識だけでは対応できません。こうした新技術への知見を今のうちに蓄えておくことで、2026年以降の市場で「指名買い」されるエンジニアになれるでしょう。

 

 

 

2. 再生可能エネルギー(再エネ)関連:O&Mと系統連系技術者

政府のカーボンニュートラル目標達成に向けた再エネ(太陽光、風力、バイオマスなど)導入の波は収まらず、導入後の安定稼働が最大の課題となっています。

 

狙い目の理由

  • O&Mの需要爆発

導入から数年が経過し、膨大な数の再エネ設備が老朽化や性能低下の時期を迎え、トラブル対応や性能維持のための保守・管理(O&M)ニーズが急増しています。現場は全国に点在するため、特定の場所に縛られない働き方ができる点も魅力です。

 

  • 電力系統の複雑化

再エネの不安定な電力を電力系統に接続(系統連系)するためには、複雑な保護継電器の選定・試験や、電力会社との専門的な折衝ができる人材が不可欠です。

 

  • エネルギーマネジメント(エネマネ)の重要性

2025年から2026年にかけて、再エネ業界の最大の課題は「出力制御(発電した電力が余り、抑制されること)」への対応です。そのため、単に発電所を作る・直すだけでなく、大型蓄電池を組み合わせた「充放電制御」の知識を持つ技術者の価値が急騰しています。電力を「作る」だけでなく「賢く使う」制御技術は、今後数十年にわたって必要とされるスキルです。

 

狙い目のポジションと求められるスキル

  • ポジション

再エネ発電所のO&M技術者、系統連系専門の電気主任技術者、パワーコンディショナー(PCS)のメンテナンス技師。

 

  • 求められるスキル

電験三種以上、高圧設備の保護協調に関する知識、設備の異常を早期発見するためのIoTやドローンなどを使った点検技術(DXスキル)が大きな武器になります。また、電気だけでなく、風力発電の機械設備に関する知識を兼ね備えた人材の価値も高まっています。

 

  • デジタルメンテナンス(DX)スキル

広大な敷地に点在する設備を効率的に管理するため、ドローンによる赤外線点検やIoTを活用した遠隔監視・解析スキルが不可欠となっています。電気の知識に「IT・デジタル」を掛け合わせることで、現場作業の負担を減らしつつ、より高度な診断ができる人材が重宝されます。

 

 

 

3. 産業施設(工場・プラント):老朽化対策と自動化エンジニア

日本の工場の多くは建設から数十年が経過しており、老朽化した生産設備や受変電設備の大規模な設備更新(リプレイス)の需要が今後数年でピークを迎えます。同時に、深刻な人手不足から、製造業は自動化(FA:ファクトリーオートメーション)に舵を切っています。

 

狙い目の理由

  • 技術継承の断絶

高度な知見を持つ工場・プラントのベテラン設備技術者が大量に定年退職を迎えており、その知識を継承できる若手・中堅の経験者が、企業の存続を左右するほどの重要なポジションとなっています。

 

  • 高度な施工管理

稼働中の工場で、生産を止めずに設備を更新する高度な施工管理能力を持つ人材は、安全性と専門性の両面から非常に高く評価されます。

 

  • 「2024年問題」後の工期短縮ニーズ

建設・設備業界における時間外労働の上限規制(2024年問題)が定着した2026年、現場には「より短時間で、効率的に施工する」ことが求められています。プレハブ工法やユニット化された設備の導入など、新しい施工方法を柔軟に取り入れ、現場の生産性を上げられる施工管理技士は、経営層から極めて高く評価されます。

 

狙い目のポジションと求められるスキル

  • ポジション

工場・プラントの設備更新プロジェクトマネージャー、FA(ファクトリーオートメーション)関連の電気制御設計士、保全計画担当者。

 

  • 求められるスキル

シーケンス制御(PLC)の知識、1級電気工事施工管理技士、稼働中の設備における厳格な安全管理の徹底経験。また、設備の状態を監視・分析する予知保全システム(IoT)の知識も、今後必須となります。

 

  • 予知保全とデータの利活用

壊れてから直す「事後保全」から、データをもとに壊れる前に対処する「予知保全」への移行が急務です。センサー技術や通信プロトコルの知識を持ち、工場のDX化を電気設備の側面からサポートできる能力は、製造業における最強の武器になります。

 

 

 

まとめ

2026年以降、電気・設備業界で年収と市場価値を高めるためには、単に経験を積むだけでなく、人手不足が深刻化する分野(データセンター、再エネ、工場FA)に意図的にキャリアをシフトさせることが重要です。

自身の持つ電験、施工管理技士などの資格を、これらの先端分野の経験と結びつけることで、あなたの専門性は「替えの効かない財産」となります。この年末に自身のスキルを棚卸し、ELECAREERで未来の成長市場への切符を手に入れましょう。

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